離婚するとき揉める原因になりやすいのが「お金」。中には養育費や慰謝料以外でトラブルになるケースも。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
結婚3年目で離婚。慰謝料はなかったのですが、納得できないことがあります。それは夜の営みの際に支払ってきたお金。婚姻後すぐに元妻は性交渉を拒み、スルならお金を払ってと要求されました。でも、夫婦間で支払うのは不自然であり、これまで払い続けたお金を取り戻すには、どうすればよいですか。
【回答】
お金を取り戻せるのは、お金を渡した法律上の原因がなかった場合です。法律上の原因がないのに他人の財産で利益を得て、その結果、他人に損失を掛けると不当利得になり、損失側が返還請求権を取得します。
ご質問の場合、奥さんとの間では、性行為の対価としてお金を支払う合意があり、これが法律上の原因になります。もし、この合意が無効だったり、取り消せれば、法律上の原因はなくなりますが、奥さんとの合意は夫婦の間の契約です。民法では、夫婦間の契約は「婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができ」ます。しかし、離婚しているので、この規定による取消しはできません。もっとも、あなたは元々夫婦の間では性行為にお金を支払う必要がなく、タダで応じるべきなのに払っていたのだから、“返せ”と主張したいのでしょう。