快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

【写真で解剖】未来的デザインの電動バイク・BMW「CE 04」に乗ってみた 限定解除も不要のシティコミューターとしての割り切り

未来を感じるために必要なちょっとした覚悟

 実際に跨がってみるとシート高800mmでイタリアのベスパ(790mm)や、ホンダの人気スクーター、フォルツァ(780mm)とほぼ同じで、足つき性も悪くなく、扱いにくくもありません。最高出力は31kW(42PS)で、最大トルクは62Nmで、発進からの加速はトルクがグングン立ち上がっていく切れ味の良さがあります。

 カタログ上では0~50km/hの加速は2.6秒ですから、強烈な加速と言えます。ただし、アクセルグリップを一気にひねり、このワイルドな加速を町中で披露することは、あまりないと思います。やさしく扱っているだけでも十分にスムーズにレスポンスよく走れます。また走行安全性についても最新のABSやトラクションコントロール、スタビリティコントロールなどの電子制御システムも搭載されています。

 こうした最新技術と、そして抑制の効いた走りを心掛けることによって、床下にスリムなバッテリーユニットを配置したBEVらしく、低重心で安定感のある走りを味わうことが出来ます。もちろん狭い道路やUターン時の扱いやすさも同クラスのスクーターと同じ。シティコミューターとして実に扱いやすいでしょう。

 そして何より街に似合うと感じるのは、この未来的なデザインです。Cエボリューションが既存のスクーターという佇まいでしたが、「CE 04」はまったく違います。スクリーンの内側を見れば、画面分割オプションを備えた10.25インチのTFT液晶ディスプレイが装備されています。まるで大友克洋氏の原作アニメ『AKIRA』(アキラ)にでも登場しそうなデザインのスクーターはかなり刺激的。近未来の街角にはこんな乗り物がガンガン走り回るでしょう。当然ですが現在、町中を走れば相当に注目度は高いはず。さらにこのデザインに乗るには、日本の免許制度での区分で言えば「普通2輪免許」があれば可能です。輸入バイクにありがちな限定解除も必要ありません。

 そんなことを意識の片隅に置きながら、しばらく走っているとすっかりと体に馴染み、「こんなバイクでツーリングに出掛けたい」と考えるようになります。ここで問題になるのが航続距離と、出先での充電問題です。

 まず130kmという航続距離ですが、あくまでもカタログ数値。実際には80%程度が実距離と考えると100km程度でしょうか。シティコミューターとして考えれば困りませんが、ツーリングでは東京から御殿場、高崎、宇都宮と言ったところが片道でもギリギリです。

 もちろん「だったら充電すればいいでしょう」と考えます。しかし、「CE 04」は短距離移動を目的とし、家庭で充電することを主目的としていますから、サービスエリア、パーキングエリア、そして市中にあるCHAdeMO(チャデモ)の急速充電には対応していません。

 充電方式は自宅での充電や目的地などにある公共の充電スポットの「単相200Vによる普通充電」となります。例えば車両に付属する充電器(Mode2)は、ケーブルに充電制御装置を内蔵した充電器で、単相200V/15Aとして普通充電を行います。メーカーのデータですが「200V/12A」での充電なら0%から80%までが約3時間、100%までなら約4時間の充電時間です。また「CE 04」は最大充電電流200V/32Aまで対応していますから、同じ充電プロセスでも最大で100%まで約1時間20分も可能ですが、専用装備が必要です。

 こうしてみると充電スポットでの滞在時間が長ければ、行動範囲は少し広げられます。それでもロングツーリングで使うには、よほど念入りな充電プランと、それなりの覚悟が必要です。それを覚悟の上で206万4000 円~というプレミアム価格を受け入れることができれば、バイクの近未来をちょっぴり覗くことができます。さらに最近、BMWには、ひとまわりコンパクトでリーズナブルなEVスクーター「CE 02」、価格125万円~が仲間入りしました。その詳細は改めてレポートしますが、電動バイクの世界、ちょっと楽しくなりそうです。

新しい駆動テクノロジーの提案を感じる革新的なリアスタイルは印象的

新しい駆動テクノロジーの提案を感じる革新的なリアスタイルは印象的

【写真】BMW「CE 04」の各パーツに注目
関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。