日経平均は下降トレンドの可能性
テクニカル分析では、移動平均線の方向性はトレンドの指標として重要視されます。最近、NYダウと日経平均で13週移動平均線が下向きに転換したことは、中期的なトレンドが上昇から下降へと変わる可能性を示唆しています。
次に注目すべき点は「移動平均線と株価の位置関係」です。
通常、株価が移動平均線の上で推移している場合、移動平均線が支持(サポート)役として機能しますが、株価が移動平均線の下にある場合は、その逆で移動平均線が抵抗(レジスタンス)として働きます。
現在、NYダウは13週移動平均線の上に位置しており、相対的に強い状態を保っています。一方で、日経平均はすでに数週間前から13週移動平均線の下に位置しており、より脆弱な状態にあります。これは、日経平均が下降トレンドへ転換した可能性を顕著に示しており、これからの市場の動向には注意が必要です。
エヌビディア決算後、市場の関心は金融政策へシフト
エヌビディアの決算発表が市場の大きな関心事でしたが、そのイベントが終了すると、関心は再び金融政策に戻ることになります。
特に注目されているのは、5月22日に公表されたFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨で、「正当化されるなら追加引き締めにも前向き」という複数の当局者の言及が明らかになりました。
この発表は、エヌビディアの決算日と同日に行われ、金融政策に対する市場の警戒心を一層強めました。その結果、日米の長期金利が共に上昇傾向を維持しており、高金利が株価や景気に抑制効果を及ぼす可能性に対する懸念が増しています。
次回のFOMCは6月11~12日に予定されており、99.1%の確率で“現在の金利の据え置き”と予測されていますが(5月27日時点)、0.9%の確率で“利上げ”の予想も存在しています。これは、現在の経済状況で利下げを行うことが難しいという市場の見方を反映しています。
また、次回の日本銀行の金融政策決定会合は6月13~14日に開催される予定です。前回の会合で実質的な利上げが行われ、追加利上げについての要人発言もありました。これが背景となり、日本の長期金利は1%を超える場面も見られ、金利上昇が株価の上値を抑えているとの指摘が出始めています。
このように、日米の長期金利がともに上昇している状況の中では、各国の中央銀行会合後にどのような金利動向が見られるかが、株価の今後の方向性に大きな影響を与えるでしょう。