東京への“対抗意識”の弊害
三大都市圏のなかで大阪を中心とする大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)は、「東京圏や名古屋圏と比べて、衰退が早く訪れる」と見られ、すでに人口減少の傾向があるという。
「人口が減るとは、消費者が減っていくということ。そうなると福岡、札幌、仙台などの『商業都市』は息が続かなくなり、たとえ人口をそれなりに維持できても高齢化が進むためパイが広がらない。
一方、名古屋、浜松、広島といった『工業都市』は雇用が残るためイノベーションを起こしやすく、人口や都市機能を維持できる可能性があります」
その点、大阪圏は日本有数の産業集積地であり、企業数も多く、雇用が不足しているわけではない。しかし現在、高齢化に加えて若者の流出も課題だ。総務省の「住民基本台帳人口移動報告 2023年結果」によると、20代前半の東京圏への転出超過数は大阪府が1位、兵庫県が2位となっている。
「大阪圏は今、東京圏に若者を送り出す最大エリアになってしまっている。多くの大学があり、近隣県から学生が集まりますが、東京圏で就職する人が多いということ。大阪圏で就職して住み続けることに、若者が魅力を感じていないのでしょう。
東京圏への若者の流出は、女性の割合も相当多いと考えられます。東京圏は金融、IT、サービス業などの企業が圧倒的に多く、女性が比較的活躍しやすいので人気がある。対して大阪圏は、女性が就業したいと思うような職種が少ない。そうした産業構造の違いが大阪圏の若者流出を加速させ、結果として出生数も減って高齢化がますます加速していくわけです」