大阪・黒門市場ではインバウンド活況に沸く一方で葛藤も
大阪・ミナミにある“なにわの台所”黒門市場。明治末期まで近くにあった寺院(圓明寺)の山門が黒塗りだったことに由来する200年の歴史がある商店街だが、インバウンド活況により、地元から愛されてきた市場はその姿を大きく変えている。
1日3万人が訪れる観光地となった商店街だが、来客の約8割は外国人客だ。地元客の足が遠のき、古くから営業してきた店舗と外国人観光客にターゲットを絞った店舗との間で軋轢が生じているという。バブル崩壊やリーマンショックでの客足の落ち込みも乗り越えてきた商店街だが、インバウンドの波が押し寄せるなかでの苦悩もあるようだ――。
市場は千日前通りと堺筋の交差する南東の一角に位置し、東西100メートル、南北400メートルにわたる商店街。鮮魚や野菜、精肉などの食料品を幅広く揃る店舗が約170ほど集まっている。市場の飲食店店主はこう言う。
「かつては料亭や小料理店への卸をする店もぎょうさんあったんや。『黒門に行けば安くて新鮮なものがある』いうて、プロの料理人から地域住民まで多くの人が集まってきた。ところがリーマンショックで飲食店が減ってしもて、売り上げも激減した。シャッター通りになった時期もある」