間違えて「閉」ボタンを押して会長をギロチン状態に…
マンションによってはこんな不文律も。今春から、横浜市内の賃貸マンションで新生活をスタートした20代女性・Cさんが言う。
「15階建てマンションに2基あるエレベーターの1つは10階以上の高層階専用。9階までのエレベーターは“各駅停車”で、通勤など混雑時は殺伐とした雰囲気でした。3階から乗り込もうとすると、突き刺さるような視線を感じる。どうやら『2階、3階の住人はラッシュ時の下りエレベーター利用を控える』という不文律があるらしく、無用なトラブルを恐れ利用を避けるようになりました」
オフィスならではのエレベーターの苦労もある。50代男性・Dさんが語る。
「狭いエレベーター内の特有の“気まずさ”は誰でも経験があると思います。操作盤の前に立つ人が『ドアの開け閉めをやれ』という空気感、降りる際の『お先にどうぞ』的なポーズ……。わずか数十秒から1分足らずの上下の移動で、通勤ラッシュなみの気遣いを強いられるのがエレベーターという乗り物です」
Dさんが続ける。
「役員や社長、会長と同じタイミングで乗り合わせた際の気まずさや緊張感は、半端ではありません。『挨拶だけでなく、何か話しかけたほうが良いか』などと、余計なことを考えてしまいます。
一度、会長が同じエレベーターに駆け込んで来た際、咄嗟に『<>(開)』ボタンを押したつもりが『><(閉)』ボタンを押し会長を“ギロチン”状態にしたことがあった。毎日のように使っていても、開閉ボタンの操作はどうも慣れなません。いっそのこと「○」「×」表記にしてもらいたい」
以来、Dさんは「エレベーター恐怖症になってしまいました(苦笑)」という。
電車やバスなど公共交通機関以上に、密室のエレベーターは「マナー」と「気遣い」が求められる乗り物なのかもしれない。