公的年金の運用と同じ比率の「バランス型」
新NISAの商品では、1本で全世界の株式に分散投資できる「オール・カントリー(通称オルカン)」や、アメリカの代表的な企業500社に分散投資できる「S&P500」と名のつく商品が人気を集めている。だがこれらの投資対象はすべて「株式」のため、60才以上にはややハイリスクといえる。
「株式は値動きが激しく、一度暴落したらすぐには回復しません。例えば2008年のリーマン・ショック時は世界中の株式が半値以下になり、回復するまでに5年以上かかりました。もし今後、同規模の経済ショックに見舞われた際、60才以上では持ち直すまで待てる余裕がないこともあるでしょう。
そう考えると、株式だけでなく、債券などの値動きリスクの低いものにも資産を分散させておくべきなのです」(小川さん)
60才以降は資産を大きく増やすことよりも、減らさず守ることを優先すべき。それには、国内外の株だけでなく債券なども取り入れた「バランス型」と名のつく投資信託がおすすめだ。
「国内外の株式と債券に均等に投資する4資産均等型は、公的年金の運用と同じ比率で安心感が高い。自分で複数の商品を組み合わせるなら、株の比率は『100-年齢』にするのが定石です」(野原さん)
次のページ:60歳を過ぎてiDeCoに加入する優先度は低い