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《パンダをめぐる日中関係を読み解く》日本からパンダがいなくなる可能性も “新しいパンダの来日”のために必要なこと

1972年、来日したカンカン(左)と最後までお尻を向けたままで顔を見せなかったランラン(1972年撮影/共同通信社)

1972年、来日したカンカン(左)と最後までお尻を向けたままで顔を見せなかったランラン(1972年撮影/共同通信社)

 実際、飼育には細心の注意を払うと続ける。

「パンダはクマ科に分類されている危険な動物でもあるので、担当者が軽々と体に触れることはできません。飼育は基本的に中国のマニュアルに則り、個体の性質などによってプラスアルファします。担当者が中国に行って研修を受けたり、向こうの専門家に来てもらって指導を受けたりして、ベストな状態の維持を心がけていて、若手とベテランを組み合わせた“チーム上野”で対応しています」(福田園長・以下同)

 施設基準は動物愛護法によって定められ、上野動物園のパンダは40平米ほどの個室で単独生活を送る。床は土ではなく石畳で周囲には鉄製の柵があり、室内は薄暗いという。特に慎重さを求められるのが繁殖だ。

「パンダはとりわけ繁殖が難しいとされる動物種です。パンダの大人は100kgを超えますが、子供は150g程度で非常に小さく生まれます。その小さな子を無事に育てるにはさまざまなリスクがあり、担当者は危険度合いに応じて24時間体制で対応しています。それでも繁殖は難しく、リーリーとシンシンの間に生まれた最初の赤ちゃんは生後6日で死んでしまいました」

 上野動物園では24年ぶりに生まれた赤ちゃんパンダの悲劇から学習を重ねて、5年後に生まれたシャンシャンは「チーム上野」が立派に育て上げた。

 そのシャンシャンが中国に返還される際も、さまざまな面に気を配ったという。

「中国に輸送する際はトラックに積んだり飛行機に乗せたりするので温度や明るさ、雑音などでストレスを感じて体調が悪化するリスクがあるので、なるべくストレスを感じさせないよう健康管理や食事に気をつけました。担当者が感傷的に振る舞って、シャンシャンが“私、ここを去るんだな”と察したらそれがストレスになるので、決して悟られることのないよう最後の日まで普段と同じように接していました」

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