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田代尚機のチャイナ・リサーチ

「今年の夏は猛暑の予想」で業績アップ・ダウンが見込まれるセクター サマーストックへの関心が高まるか

ヘルメットはなくてもフェイスガードとサングラス着用(河北省邯鄲市。Getty Images)

ヘルメットはなくてもフェイスガードとサングラス着用(河北省邯鄲市。Getty Images)

業績予想において個人投資家がアナリストと勝負できるセクター

“この夏は猛暑になるかもしれない”ということだが、投資家目線でこの予想をどうとらえたらよいのだろうか。

 熱波による経済への悪影響という観点から考えると、農業、資源、あるいはそれらを運ぶ海運などにおいて、業績予想の下方修正リスクを意識しなければならないだろう。

 一方、夏の暑さが業績を押し上げる業種もある。株式市場では伝統的に、エアコン、ビール・飲料水、アイスクリーム、UVカットや虫よけといったヘルスケア・医薬品、衣料品、アウトドア・レジャー関連用品、遮光ネット、防虫ネット、散水システムといった農業関連資材などがいわゆるサマーストックとして知られている。梅雨明け間近となると、話題になりその都度、関連銘柄が反応したりする。今年はそうした傾向がより強く出るかもしれない。

 予想が外れたらどうするか。日本ではおそらく梅雨明けが遅れることになるだろうから、レジャー、外出が減り、オンラインショッピング、ゲームなどのセクターが恩恵を受けるかもしれない。

 業績を予想する際、製品、サービスに関して深い知識を必要としたり、マクロ経済、金融政策、ビジネス環境などの変化によって業績が大きく左右されたりするようなセクター、銘柄などでは、その業績予想において個人投資家はアナリストたちにかなわない。たとえば、NVIDIAやTSMCの業績について、個人投資家がプロを上回る精度の予想を出すことは難しいだろう。

 しかし、業績が消費者の行動によって左右されやすいセクター、銘柄に関しては個人投資家とアナリストとの差は小さい。たとえば、新型コロナウイルスが発生する直前の2年間でワークマンの株価は大きく上昇したが、アナリストたちよりも早く、「ワークマンが来てる!」と身近に感じることのできた若者はたくさんいたはずだ。SNSを通じて猛暑で売り上げが伸びている製品の情報交換などをしてみたら面白い。

 毎日の天気予報に日頃から関心を持っていて、気象の変化による生活への影響に敏感な若い投資家たちにとって、今年の夏はチャンスとなるかもしれない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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