昨今の鑑賞料金の値上げとサブスクの普及なども伴い、映画館に行くハードルが高まる一方で、入場者特典を打ち出す作品が増えている。来場者に特典を配布することで集客するのは昔からある手法だが、近年ならではの特徴がある。「長期間かつ多種類」だ。
都内の映画館で働くスタッフは「特に人気アニメの劇場版の入場者特典は、週ごとに違うものを用意しがち」だと話す。
「第◯弾という形で告知し、何度も新しい特典が追加される。特典はポストカードやコマフィルム、描き下ろし色紙など、作品によってさまざまです。ただ、それぞれの特典は全1種類ではなく、ランダムに全○種のうち1種を配布というパターンが多く、何がもらえるかわからないため、何度も通う方もいるようです」
こうした特典を喜ぶファンがいる裏で、「作品は好きで映画はみたいが、特典に興味がない」という人たちもいる。特典商法の盛り上がりぶりをどう感じているのか、聞いてみた。
特典には執着がないのでフリマアプリに
IT企業勤務の30代女性・Aさんは、「特典の存在は否定しないが、もらっても困る」と言う。
「個人的には最近はすぐに作品が配信されるので、配信開始まで待とうと思うことが多くなりましたが、とはいえこの作品は映画館で見たいと思うこともあります。ただ、グッズには執着がない私にとって、特典をもらっても扱いに困るのが本音。捨てるのももったいないし」
最近、そうした特典をフリマアプリへ出品するようになったAさん。「いいことをしている気さえする」と言う。
「人気作品かつ人気キャラの特典だとすぐに売れます。そもそも儲けようとは思っていないので、他の出品者よりも安い価格で出したら、数分で売れるレベル。映画代を差し引いても得をすることもありますね。ほしい人に渡るんだったらみんなハッピーになれるのでいいかなと思っています」(Aさん)