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【空き家となった実家の相続】役所の人が更地化を勧めるのはなぜなのか? なにか釈然としない「相続土地国庫帰属制度」の仕組み

「更地にして固定資産税10年分を払えば」国が引き取ってくれる新制度

 これは2023年4月から始まった制度で、利用されていない土地が放置され、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するのが目的で、買い手がつかないような土地でも国が引き取り、それ以降、固定資産税がかからなくなる。

 しかし、市場価値のない不動産でも、価値があると評価して固定資産税をかけるが、その土地を引き取るときは価値がないものと評価して負担金を課すというのは矛盾していて、なにか釈然としないものを感じる。

 司法書士法人ソレイユの代表司法書士、杉谷範子さんはこういう。

「更地にしたうえで、負担金まで取って土地を引き取るという制度に納得いかないという気持ちは理解できますが、市場価値がなく、売ろうにも売れない土地を相続してしまったが、自分の子や孫にまで固定資産税がかかる負の遺産を残したくないという方もおられます。そうしたケースでは、この制度の利用を考えてもいいのではないでしょうか」

 長い目で見れば、負担金を支払っても引き取ってもらったほうが得になるという微妙なラインで設定されているということか。

取材・文/清水典之(フリーライター)


*清水典之氏のさらに詳しい体験談〈【ルポ・遠距離相続の落とし穴】義務化された「不動産の相続登記」を自分でやってみた 父に続いて母も亡くなり、父名義のままだった実家の「数次相続」手続きの苦労〉はこちら

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