空室の多さから窺える「賃貸に出しても借り手がなかなかいない」
分譲物件のオーナーからの賃貸で入居中だというIT企業勤務の30代男性はこう話す。
「2LDKの部屋に犬と暮らしており、駐車場代を含めて家賃は20万円台。銀座までシェア自転車ですぐ行けるし、不便はありません。たしかにゴーストタウンと言われるような感じではありますよ。僕は在宅勤務なので静かでちょうどいいですが」
入居2か月というカップルは「大家が法人で、NHKの報道に出た(投資目的の)会社かなと話していました。他の住人とはめったに会いませんが、そのほうがいいねって。家賃は港区赤坂とかの半分くらい」と語った。
“安いうえに人が少ない”という住人の評価は、投資目的で購入した側からすれば誤算という話だろう。不動産ジャーナリストの榊淳司氏はこう言う。
「値上がりを見込んで晴海フラッグを購入した投資家は少なくないが、空室の多さからは賃貸に出しても借り手がなかなかいないことが窺えます。現在100戸ほどが早くも転売に出されており、価格は取得時の1.5倍の水準。私は、その価格で売れるかがバブル崩壊のベンチマークと考えます。買い手がつかず、売り値が取得価格を下回る原価割れになるようなら、日本の不動産バブル崩壊の始まりではないか」
※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号