医学部受験に失敗し、祖父から「投資失敗だ」
一躍、注目の若手経営者となった佐上氏。写真を見ただけでは「爽やかな青年」といった容貌だが、どんな人物なのか。
佐上氏は1991年、大阪で警察官の父と元幼稚園教諭の母との間に生まれた。中学受験で奈良の進学校である帝塚山中学・高校に進み、外科医を志す。だが、神戸大学医学部を受験するも実らなかった。この時、学費の援助をしていた祖父から「投資失敗だ」と言われて、「それなら絶対に医者よりも稼ぐようになろう」と誓ったと過去のインタビューで語っている。
神戸大学農学部に入学後は、麻雀に熱中していたというが、その一方で在学中に起業。祖父の援助を受けてホームページの受託制作やEコマースサイトの運営をした後、上京してサイバーエージェントの子会社に入社。2年後に独立し、睡眠時間を削って1日20時間以上働き、試行錯誤の末、2018年にM&A総研を立ち上げた。きっかけは、祖父の経営する会社が後継者不足で廃業したのを目の当たりにして、「事業承継」の重要性に気付いたのだという。
そんな佐上氏の素顔を知るのが転職エージェント「リメディ」代表取締役CEOの大野紘也氏。佐上氏と同い年で、M&A総研の社員が10人ほどの頃からの付き合いという大野氏が語る。
「佐上さんはクールでロジカル。私はヘッドハンターとして多くの経営者に会いますが、マーケティングやエンジニアリングから財務や投資、人事まで、あれだけマルチな才能の持ち主は見たことがありません。それでいて相当な努力家で、普通なら倒れそうなほどのハードワークをする人です」
プライベートでは“裸の付き合い”も
今時の若手経営者らしくクールでロジカルな一方、情熱的な一面も持ち合わせているようだ。
「他の経営者が事業のことで困っていたら、『こういう戦略を試してみては』とアドバイスもします。『困ったら何でも言ってくれ』という経営者は多いですが、切羽詰まって相談すると、佐上さんは『こうしたら解決できるのでは? じゃあ、人紹介するね』と本当に手を貸してくれます。
しかも動きがスピーディ。社長業が忙しいはずなのに、相談した日の夜にはもう人を繋いでくれます。誰にでもフラットで頼りになる人柄だけに20?30代の若手経営者から、ものすごく慕われていますよ」(大野氏)