家事代行サービスの選び方
ひとりになると生活も一変する。とりわけ料理や掃除などの家事を担っていた配偶者が亡くなった場合、生活そのものが行き詰まる。
12年に及ぶ治療の末、2012年に妻の佳江さんを乳がんで亡くしたコント赤信号の小宮孝泰氏(68)は、「誰もが“ひとり身予備軍”なので、もしもの時の準備が大切」だと力説する。
「結婚してから料理や掃除などを少しずつ学んできて、妻が病気になってからは僕が作った料理を食べてもらっていました。
家事やお金の管理など、全部を妻任せにせず、ある程度自分のことは自分でできるように努力してきたので、なんとか生活できています。今では妻が読んでいた料理本や、メモとして残してくれたレシピから料理を再現することが、悲しみを和らげてくれています」
自炊はハードルが高いというなら、後述する配食・家事代行サービスなどに頼るという方法もあるだろう。
健康管理も配偶者任せにできない。なかでも注意したいのが、認知症への備えだ。
「認知症を発症すると、銀行口座の凍結や高齢者施設への入居手続きの制限、遺言書作成ができないなど様々な制限が加わります。今のうちに対策を考えておくべきです。
心配があるのなら早めに専門家や地域包括支援センター、社会福祉協議会などに相談しておくこともひとつの手です。財産の対策のほか、要支援・要介護認定や、徘徊や孤独死に備えてのGPSの貸し出しサービス、見守りサービスの紹介などの相談ができます」(明石氏)
認知症に備えた制度も助けになる。
「元気なうちに、将来認知症になった時に備え、財産管理や各種手続きを行なってくれる人と任意後見契約を結んでおくと安心です」(同前)
判断力を失ってからでは見ず知らずの専門家が選任されやすい「法定後見制度」を使うことになるので、「早めに検討したい制度です」と明石氏は言う。
※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号