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なぜどの店も看板商品が「バターチキンカレー」なのか? ネパール人が経営するインド料理店「インネパ」が街に溢れている秘密を解き明かす

生活が落ち着くと「家族で移住」

 お店が軌道に乗ると、単身出稼ぎに来日したネパール人が国に残した家族を呼ぶ――。そうして日本国内のネパール人は日に日に増えてきたのだ。出入国在留管理庁の「令和5年末現在における在留外国人数について」によると、ネパール人は17万6336人在留している。これは前年度と比べて3万6000人以上も増加した。だが、家族で日本に住むことが増えるにつれ、子供の「教育」の問題が顕在化しているという。

「父親はカレー店、母親は近所の工場などで必死に仕事をしているため、子供を世話する余裕がなくなるケースが多い。学校に行かせても、言語が分からないため授業についていけない。両親も簡単な日本語しか知らないため、勉強を教えることはできません。スマホを与えて放っておくことで、グレていく子供が増えている。ネパール人が学年に1人しかいない場合、学校側もその子のためだけに日本語を教える余裕がないのが実情です。加えてネパール人は子供に対して就職したくなければうちのカレー店を継げばよいという考えの人が多い。『インネパ』が増加していくなかでは、こうした問題も表出してきているのです」

 さらに室橋氏が取材を進めるなかで、日本で働くネパール人には出身地にまつわる「ある共通点」が見えてきたという──。

■後編〈「インネパ」で働くネパール人の多くは“同郷”だった 「バグルン」から日本のインド料理店への「出稼ぎ」が殺到するようになった複雑な背景〉につづく

アジア専門のジャーナリストとして活動する室橋裕和氏

アジア専門のジャーナリストとして活動する室橋裕和氏

【プロフィール】
室橋裕和(むろはし・ひろかず):1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年にわたりタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のジャーナリストとして活動。著書に『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(集英社新書)、「エスニック国道354号線」(新潮社)、『ルポ新大久保』(角川書店)、『日本の異国』(晶文社)など。

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