輸入BEV(バッテリーEV)と言えば「プレミアムクラスのSUV」といったイメージが強い。ところが最近、「フォルクスワーゲンID.4」や「フィアット500e」、「プジョーe-208」などの欧州勢、さらには「BYDドルフィン」や「ヒョンデ・コナ」といったアジア勢など、サイズも性能も“日本で走るのにちょうどいい”ミドルサイズ以下のBEVが次々に登場し、マーケットは賑わっている。
そんな中にクリーンな北欧デザインを纏ったコンパクトサイズの「ボルボEX30」が参入。いち早く電動化へのビジョンを明確に打ち出し、「2030年までに新車販売のすべてをBEVにする」という目標を掲げるスウェーデンのボルボ・カーズ(以下、ボルボ)が仕上げた「EX30」は、どんなBEVの世界を見せてくれるだろうか? シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回は自動車ライターの佐藤篤司氏が「ボルボEX30」をレポートする。
車自体が「体に馴染む」
ボルボのクルマ作りの根幹にあるのはカーボンニュートラルに向けての、明確でブレのない戦略です。走行時だけでなく、製造から廃棄までの過程で排出される二酸化炭素(CO2)をトータルで削減し、2040年までには、事業全体で CO2排出量を実質ゼロとすることを目標に進められています。そんなボルボが売れ筋の「激戦マーケット」と言われるCセグメント(ゴルフやカローラが属するクラス)に投入した新型BEVがコンパクトなSUV「ボルボEX30」。
すでにボルボは日本においてクロスオーバースタイルの「C40 Recharge」や、共通プラットフォームのSUV「XC40 Recharge」といったBEVを販売しています。EX30は、その2モデルよりもひとまわりコンパクトで“ボルボ史上もっともコンパクトなBEV”という言われる存在です。ボディサイズは全長4,235mm、全幅1,835mm、全高1,550mmで、ひとクラス上のC40の全長4,440mm、全幅1,875mm、全高1,595mmと比べると、205mm短く、40mm狭く、45mm低いというサイズ感です。仮に、運転が苦手という人がハンドルを握ったとしても、このEX30でなら運転のストレスはかなり軽減されていることを実感するかもしれません。
もちろん、そうした扱いやすさはサイズだけで語られるものではありません。アクセル操作やステアリング操作に対するナチュラルな反応、そしてスクエアでクリーンなボディフォルムと開放的なグラスエリアによって実現した見切りの良さなどが複合的に作用して、使いやすさが実現しているのです。とにかく走り出して少しすると、車自体が体に馴染んでいることに気が付くはずです。