最初の物件でリフォーム価格の“闇”に直面
不動産というのは、「住む」「貸す」「売る」という3つの用途がありますが、その前段階として、再商品化のためのリフォームが必要になってくる。大家となった僕は3DKの部屋を2LDKに改築し、水回りを一新しようと考え、その工事の見積もりを業者に依頼しました。
すると、たった55平米の1室のリフォームなのに、見積もりの金額は上が330万円、下は120万円と、200万円以上も開きがあった。おかしいと思い、自分で試行錯誤しながら行動した結果、リフォーム工事の見積もりを同じ工事内容で 60万円まで抑えることができたんです。最終的に、僕の初めての不動産投資は利回り20%で回り、成功を収めました。
リフォームの過程で建築・不動産業界の不透明さという“闇”に直面し、“これは世の中の大家さんたちは困っているだろうな”と思ったんです。世の中の大家さんや地主さんは高齢の方が多いですしね。そこで勉強と実践を重ね、2005年にサラリーマンとの兼業で会社(ホームコンサルティングソリューションズ)を設立して「大家さんの為の満室経営実践会」という会を発起し、セミナーの事業を始めました。
書籍の出版をきっかけに「不動産一本」へ
セミナーは、僕が不動産を購入し大きく利益を残す為に必要だった経営課題や、実際に不動産投資を拡大していくうえで捉えた本質をフレームワーク化して、不動産経営者の方々にその具体的方法をお伝えするというものです。「リフォームコスト削減」や「大規模修繕コスト削減」、「リスクの最小化とリターンの最大化」といったテーマで年に4回ほど行ない、それをブログやメールマガジンで告知、 配信し、だんだんと盛況になった。そこから事業が進化して、現在では、企業経営者や富裕層の方々に対して不動産に立脚した資産経営アドバイスをするようになり、その事業を現在までかれこれ20年続けています。
勤務先からは兼業を申請し、認められていたのですが、2013年に『リフォームコスト削減ノウハウ』(筑摩書房刊)という書籍を出した頃から、いろんなメディアの取材を受けたり、外部で講演したりと派手に活動するようになったので、会社から怒られてしまった(笑)。それで36歳の時にサラリーマンとの兼業をやめて、不動産一本に絞ることにしたんです。
その頃にはそれなりの資産も築いていたし、預金だけでも1億5000万円ほどありましたからね。今でも富士ゼロックス時代の同僚や先輩とお酒を飲んだりします。ビジネスマンとしてのスキルや社会のことも色々と学ばせてもらったので、サラリーマン時代の経験は僕の財産になっています。