「国民年金だけでは老後が不安」という人たちも
厚生年金の保険料は収入の18.3%となっており、これを加入者と企業で9.15%ずつ負担することになる。例えば、パート・アルバイトの時給が1000円なら、新たに厚生年金に加入すると、企業はここに厚生年金保険料分を入れた時給1091.5円を支払わなければならなくなるのだ。
「一方で加入者側は、厚生年金に加入しなければ時給1000円なのが、加入すると手取りは保険料分の91.5円が引かれた時給908.5円に減る。
これを“年収の壁”と呼び、厚生年金保険料を払わずに済むよう夫の扶養の範囲内で働こうとする就業調整を行う人もいるのです」(権丈さん)
配偶者の扶養の範囲内で働くパート主婦は「第3号被保険者」となり、厚生年金保険料を支払う必要がない。だが、要件緩和によって厚生年金に加入すれば新たに保険料負担が生まれる。これを「第3号撤廃」「専業主婦いじめ」などと批判する向きもある。だが、社会保険労務士の井戸美枝さんはこう話す。
「確かにパートやアルバイトでも厚生年金に入れるようになるという意味で、第3号の“縮小”は進むでしょう。しかし、第3号の対象には育児や介護などで働けない期間がある人もいるので、完全に撤廃されるとは考えにくい。むしろ、厚生年金対象者の拡大に救われる人が一定数います」
事実、全国民が加入する国民年金(基礎年金)だけに加入しているのは、自営業者や専業主婦ばかりではない。就職氷河期世代など、厳しい雇用環境の中で働き続けているのに厚生年金に加入できず、「国民年金だけでは老後が不安」という人たちも、厚生年金に加入できれば将来の年金を増やせるようになる。