繰り下げた年齢から12年長生きすれば元が取れる
さらに、受給開始を遅らせて受給額を増やす「繰り下げ」などのテクニックも、厚生年金に加入すれば考える必要はなくなる。
「厚生年金の受給を繰り下げても、働いている間は保険料を払い続けることになるので、繰り上げと繰り下げのどちらが得かは個人の収入や家計、寿命次第です。1つ言えることは、厚生年金は繰り下げた年齢から12年長生きすれば、遅らせた分の元を取ることができます」(拝野さん)
例えば受給開始を1年遅らせて66才にすると、78才まで生きればいいということ。ただし、それまで第3号被保険者だった人が厚生年金に加入すると、基礎年金に上乗せされていた「振替加算(昭和41年4月1日以前生まれの人のみ)」がなくなることがあるため、その際は厚生年金だけを繰り下げよう。拝野さんによれば、厚生年金の加入要件が緩和された一方で、遺族年金を縮小しようという動きが進んでいるという。
「だからこそ、いま第3号の人も、可能な限り厚生年金に加入して、自分のための年金をつくって備えておくことが大切なのです」(拝野さん)
前述の従業員数などの要件に加え、現在は農業、林業、飲食店、理容店、神社などは「非適用業種」となっており、厚生年金に加入することはできない。だが、今後も継続した適用範囲の見直しが求められるため、いずれ緩和される可能性もある。加入への心構えは持っておいて損はない。