客足が鈍るから「1皿100円」に戻す
業界1位で626店舗を国内で展開するスシローは、1984年の創業以来値上げをしてこなかったが、原材料高騰により2022年から段階的に1皿10~30円の値上げに踏み切った。ただ、結果として2023年9月期の国内スシロー事業は減収減益となった。米川氏が言う。
「原材料の値上がりにより回転寿司を1皿100円で提供するのが難しくなっているが、大手チェーンは価格転嫁できずにいる。1皿100円だったものを200円にすると客が激減するのは目に見えている。それはつまり、お客さんにとっての回転寿司の魅力が味よりも、値段の安さにあったということです。
品質に満足してもらっているなら、値段が高くなっても客離れは起きないが、スシローも値上げで集客が20%ほど減った。それにより、創業40周年キャンペーンなどにかこつけて、また100円の寿司を多く出すことになった。値段を上げないと利益が出ないのに、値上げすると客離れが起きてしまい、価格を元に戻す。回転寿司業界は、水面下でもがき続けている状態です」
回転寿司業界は魚介類の高騰に加え、1皿100円超の値付けでは客離れが起きる「101円の壁」問題という二重の苦しみに直面しているわけだ。