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手続き時に求められる「緊急連絡先」という難題 独身一人っ子、親きょうだいと疎遠など、家族を頼れない人たちが悩みを吐露

結婚した現在も「不安はなくならない」

 緊急連絡先の確保の重要性について、入院時に痛感した人もいる。メーカー勤務の40代女性・Bさんも、前出・Aさん同様一人っ子。両親は離婚しており、どちらとも絶縁状態だ。そのつらさが身にしみたのが入院時だったという。

「30代の時に入院した際、困ったのが緊急連絡先と保証人でした。私は親やきょうだいに頼れない。結局、賃貸契約をした時に緊急連絡先をお願いをした友人に、今回もお願いしました。ただ、若いうちは友人に頼めるかもしれませんが、年を取ったら相手にも家庭があるだろうし、何かあった時の連絡先、ましてや保証人なんて頼める気がしません」

 その後、結婚を経た現在も「不安はなくならない」というBさん。夫婦には子供ができないまま現在に至るため、「夫に先立たれるリスクを考えてしまう」と語る。

「今は夫が元気だから良いですが、もし私よりも先に亡くなったら……。夫の死後を見据えて、いざという時に頼れる人を自分で見つけなくてはならないなとは思っているんですが、正直考えたくないというか」(Bさん)

 緊急連絡先に困るのは、AさんやBさんのような「一人っ子」だけとは限らない。Bさんの周りでは、同様に「親・きょうだいと不仲」というケースがあるという。

「私の友人には親・きょうだいがいますが不仲で連絡を取りたくないという人がいて、その人は『もう20年以上連絡をとっていない。本当に緊急時に連絡されても困る』と言っていました。血縁がいてもそうなんだと思うと、厄介な問題ですね」(Bさん)

 家族が当たり前にいて、つながっているとは限らない。今後、未婚、少子化、親族との関係の希薄化などがさらに進めば、「緊急連絡先」のあり方が社会的な課題になるかもしれない。(了)

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