藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

信用取引をしない人も知っておきたい「増担保規制」の仕組み 適用されれば株価は急落の可能性、解除を見据えたトレードも狙い目

増担保規制がかかるのはどんな場合か?

 増担保規制が適用されるのは、下記の場合です。

【1】株価の急騰や急落
 特定の銘柄の株価が短期間で大きく上昇したり、逆に大きく下落した場合、信用取引での売買では、投資家が大きな損失を被るリスクが高まります。そのため投資家が損失をカバーできるように担保を多くします。

 伊勢化学工業の場合は、増担保規制が入る前の6日間で、株価が60%近く上昇していました。

【2】取引量の急増
 異常な取引量は、投機的な動きや市場操作の可能性を示すことがあるため、規制を強化することで市場の健全性を保ちます。

【3】市場の不安定性
 市場が全体的に不安定な状態にある場合や、特定のセクターや銘柄に対する不確実性が高まっている場合にも、増担保規制が適用されることがあります。例えば、経済指標の発表や政治的な出来事などが原因で市場全体が不安定になると、増担保規制が行われることがあります。

【4】特定のイベントやニュース
 企業の業績発表や重大なニュース(例:合併・買収の発表、新製品の発売、大規模な不正発覚など)が原因で、株価や取引量に大きな影響を与えると予想される場合にも、増担保規制が導入されることがあります。

 増担保規制がかかると、取引コストが増加するため、新規での買いが入りづらくなります。そのため株価は下落しますが、増担保規制が解除されると、そういったストレスから解放されるため、リバウンドすることが多いものです。そうなったときには解除後の株価上昇をねらう手も悪くありません。

増担保規制解除の条件

 増担保規制は、以下の条件が揃うと解除されます。

【株価基準】
・5営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が±15%未満である場合

【残高基準】
・5営業日連続して信用売残高の対上場株式数比率が12%未満である場合
・5営業日連続して信用買残高の対上場株式数比率が24%未満である場合

 3つの条件を満たしていても、場合によっては解除されない場合もありますが、たいていの場合は、株価基準が解除の目安となっているようです。そのため、規制がかかった銘柄の株価と、25日移動平均線の乖離率をウォッチしておき、15%未満が4日続いたあたりから仕込んでみるのも一手です。

 伊勢化学工業の場合も、規制前の17日は乖離率が40%を超えていましたが、規制導入後、15%未満が5日続いた翌日に規制が解除されています。

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