もしも、東大に女子を増やしたいなら、女子の割合が多い文科III類(文学部や教育学部への進学が多い学類。入試は科類別に募集する)の定員が現在469人なのを倍増し、女子率が高い教育学部の学生数を今の10倍にすればいい。自ずと女子率は上がるはずだ。
だが、それは現実的ではないだろう。そうなると、女子学生の比率を上げるためには、一般試験とは別に、推薦入試で女子枠入試をおこなうしかない。
たとえば、現在おこなわれている東大の推薦入試は、共通テストで概ね8割以上を取ることが目安で、それ以外は書類審査や面接で合否を決めていく。女子枠も同じようにしていくことが推測される。東大入試の大きなハードルとなる二次試験の数学がなければ、女子の受験者は増えるだろう。
東大の推薦入試での女子の割合は46.2%
アメリカの難関大では女子の学生の比率が高い。その入試形式は、学力を測るペーパー試験ではなく書類審査をメインとする入試で、日本でいう総合型選抜入試に近い。
数学や英語の学科のペーパー試験は採点の基準が明確であるが、総合型選抜は書類審査や面接が中心なので基準は外から見てもあいまいだ。今後は日本の大学でも総合型選抜が増えていくとされるが、反発が大きいのは合格基準の「あいまいさ」ゆえだ。
一般選抜が「ペーパーテストで高い点数をとった受験生」を合格させるのに対して、総合型選抜は「大学がほしい受験生を合格させる」ことができる試験である。そして、その「ほしい」にも様々あり、「英語力が高い受験生がほしい」ならば英語力を問うし、「論理的な思考力が高い受験生がほしい」と思えばそれを問う。女子がほしいならば、女子であることを出願条件にする入試を作ればいいわけだ。
ちなみに、2024年の東大の一般入試での女子の合格者割合は20.2%だが、推薦入試での割合は46.2%。推薦入試と女子は相性がいいようにも見える。ましてや「女子枠」を作ればさらに女子の合格者は増えていくだろう。
現在、多くの大学で女子枠を導入し、京大は理学部と工学部で「女子枠」入試をおこなうと発表しているが、東大もその流れに沿っていくのではないか。東大も理系の学部だけに「女子枠」を設定するのか。それとも文系も含むのか。気になるところだ。
一記者の私としては、工学部などの理系学部が「女子枠」を作ることが話題になれば、女子学生へのPRになるので有意義だと考える。
女子枠は「ずるい」のか
もちろん、この「女子枠」の導入には反発も起きている。朝日新聞デジタル2024年6月13日配信の〈「もともとあった段差を乗り越える」 受験で拡大する女子枠の意義〉という記事の中では、名古屋大学工学部へ学校型選抜の女子枠で入学した女子学生が「女子枠なんてずるすぎる」と男子学生からいわれたエピソードを紹介している。
SNS上でも男性たちからの反発の声が多く見られるが、女性の中にも違和感を表明する声がある。タレントのフィフィは、3月に「女子だけの特別枠を設けるなんて、逆差別だし、女子をもバカにしてる…そんなことも分からないのか。」とX(旧Twitter)に投稿し、1.8万の「いいね」がついている。