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【学力と遺伝を考える】「東大卒夫婦」の子どもが真面目に勉強したのに中学受験で志望校不合格 努力もしたのになぜ?

高学歴同士の子どもであっても、中学受験で成功するとは限らない(写真:イメージマート)

高学歴同士の子どもであっても、中学受験で成功するとは限らない(写真:イメージマート)

 才能と遺伝に関する研究が話題になることがあるが、学力と遺伝はどこまで関係があるのか。やはり、両親が高学歴の子どもは、中学受験で成功しやすいのか。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)などの著書があるノンフィクションライターの杉浦由美子氏がレポートする「中学受験家庭を悩ませる、遺伝と学力の関係」の第6回。【全6回。第1回から読む

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「遺伝が学力に影響がある」。この説を研究者が公表しているデータはかねて存在したが、それがここ数年で広く知られるようになった。だが、だからといって、高学歴な親の子ども達がすんなりと中学受験で成功はしないケースがある。子どもが努力をしなかったわけではない。ちゃんと勉強をしても失敗するのだ。

 そういったケースを私が取材した中で、印象に残っている親子を紹介しよう。東大卒同士の夫婦の子ども二人の中学受験がうまくいかなかったケースだ。

東大生同士のキラキラカップル

 専門職の女性・Bさんは東大在学中にテニスサークルで知り合った先輩男子と結婚をした。東大生しか入れない名門サークルで、男子は入部のために厳しいセレクションがあり、そのサークルに入るというだけでステイタスがある。東大の中でも飛び抜けて優秀な彼と、清楚な美貌で性格も明るいBさんは花形のカップルだった。

 その夫は国内大手の企業から転職をし、今は外資系企業で活躍している。世帯年収は2000万円を超える。夫は能力主義の外資系転職とは相性がよかったようで、キャリアも順調だ。論理的な思考力が求められる職種で成功しているのだから、もともとの知能も高いと推測される。

 20代で結婚をし、すぐ長男が生まれ、その数年後に長女が生まれた。長男をBさん夫妻は御三家の一角、麻布中学に入学させたいと思った。教育方針や自由な校風に惚れ込み、そのため、マンションを購入するときも、麻布のある広尾に通いやすい場所を選んだほどだった。

 もちろん、教育も手を抜かない。子ども達を幼い頃から公文教室に通わせ、小学校の低学年から算数に強い中学受験塾に入れ、小学4年からはグノーブルに切り替える。グノーブルはSAPIXの講師達が独立して作った塾で、難関校の対策に長けており、麻布への合格率(生徒の受験者数に対しての合格者の数)はSAPIXを凌ぐほどだ。

 中学受験経験者の夫が子どもの勉強を見ていたが、小学5年になると宿題の量が多くなるので手に負えなくなる。「プロに任せよう」ということになって、個別指導塾や家庭教師を利用しだす。自宅の近くにある大手個別指導塾に通わせた。小学6年になると、週に3日はグノーブル、個別指導塾が2回、週末には早稲田アカデミーの志望校別特訓・NN麻布コースに通う。

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