東大出身の40代女性(理学部から修士課程に進み、大手企業の技術部門に在籍)はこう話す。
「女子枠を作ることで、下駄を履かせてもらえる女子とそうではない女子の格差が広がっていくんじゃないですか。今までだってそういう格差がありました。私みたいな不器用な女は泥くさく努力して、実績を積みかさねないと認められなかったんですが、女であることを武器にしてキャリアを築いた人たちもいます。彼女たちは恥ずかしげもなくポジショントークがうまく、男性たちが望む女性像を演じている。そういう器用な女子だけに有利な社会が実現していくように感じます」
もっとも、こういった反発は「想定内」のようにも思える。今回、東大が掲示したポスターのキャンペーンも、「女性への偏見や差別が東大の女子率を減らしているのではないか」と問題提起することで、「令和の時代にそんな差別あるの? あるとしても稀なんじゃないの」というツッコミや反発を呼びこんでいる。それで結果的に注目度が上がれば、目論見どおりなのかもしれない。今後の動向に注目したい。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。