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「北海道の夏は涼しい」は昔の話 エアコン普及率が低い北海道で取り付け業者は大忙し、豪雪地帯特有の問題で工事が難航することも

エアコン取り付け業者は大忙しの状況(イメージ)

エアコン取り付け業者は大忙しの状況(イメージ)

 近年、夏の猛暑が当たり前となりつつある日本列島。それは北海道であっても例外ではなく、ここ数年で快適とは程遠い気温が続いている。昨年、札幌では最高気温が35度超の猛暑日を3回観測。そのうち1回は、札幌市において観測史上最高気温となる36.3度をマークしたほか、7月20日から9月1日にかけて44日間連続真夏日となり、過去最長の記録となった。

 気象庁の観測データによると、1993年から2023年の30年間で、札幌市での8月の日最高気温の月平均値は24.1度から30.9度と6.8度も上昇し、「北海道は夏でも涼しい」という常識は変わりつつある。今年も6月29日には札幌市や旭川市で今年初となる真夏日を観測したばかり。今夏の酷暑も予想されるなか、必須となるのがエアコンだ。

 ところが、これまで夏でも涼しかっただけに、北海道のエアコン普及率は高くない。総務省の「消費動向調査」によれば、2024年3月時点のエアコン普及率(二人以上の世帯)の全国平均は92.5%なのに対し、北海道・東北は73.5%となっている。とはいえ東北のエアコン普及率の高さを勘案すると、北海道単体ではもっと低いのは間違いない。やや古いデータになるが、2014年の総務省「全国消費実態調査」では、北海道のエアコン普及率は26.6%にとどまっていた(東北地方は71.8%)。もちろんその後、普及率は上昇しているだろうが、エアコンの設置はまだまだ追いついていない現状がある。

手軽なモデル売り切れで高級モデルを購入する羽目に

 北見市に住む30代の女性・Aさんは、道内生まれ道内育ち。道内で結婚したが、昨年、子供たちが通う学校が休校になったことを明かす。

「去年、37度を超える猛暑日があって、熱中症警戒アラートが出た日は上の子の小学校と下の子が通う幼稚園がお休みになりました。教室にはエアコンが設置されておらず、学校として子供たちを預るには危険な暑さだからという判断でしょう」

 函館市で生まれ育った20代の男性は「去年の夏、初めてエアコンを買った」と語る。それまでは夏が短いこともあり必要とは考えていなかったが、暑さに耐えられず、購入を決意した。

「ギリギリまで頑張ったのですが、これ以上我慢すると、家のなかで熱中症になりそうだったので、家族会議の結果、買おうという話になりました。でも決断が遅くて、店に行って買おうとしたら手頃な価格のモデルはすべて売り切れ……。誰しも考えることは同じで、猛暑でエアコンを買いに走った人は多かったようです。

 残っているエアコンは高いハイエンドモデルばかりで、そんなに高級なものはいらないと思ったのですが、背に腹は変えられない。結局買ったのは20万円以上もするエアコンです。まさか北海道で冷房のためにエアコンを買う日が来るとは……」

 エアコン設置が“常識”ではない北海道。SNSでは「賃貸だから設置ができない」「部屋がエアコン設置対応になっていない」などと道民から悲痛の声があがるほか、「北海道もエアコンないともうダメ」と、本格的な夏の暑さに備えようとする声も相次いでいる。

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