今年は全国各地で梅雨入りが早まり、長引くとの予報。ただでさえ湿度の高さが不快な梅雨だが、例年以上にカビやダニの発生による「住まいの健康被害」が懸念される。
コロナ禍により、窓を開ける習慣が一般的になった。一見、風通しがよくなるように感じられる。しかし、湿気の多い季節に限っては、窓を開けての換気が逆効果となる可能性がある。日本大学理工学部助教で一級建築士の井口雅登さんが指摘する。
「天気予報などで、『湿度100%』という日もあります。こういう日は、室内の空気より外の空気の方が湿度が高い恐れがあり、窓を開けた方が湿気の原因となることがあります」
明暗を分けるのがエアコンの除湿機能の使い方だ。
最近のエアコンは、ドライ機能に複数のモードがあるものが増えている。一般的な「弱冷房除湿」は、湿度とともに室温も下げるが、「再熱除湿」機能は室温を下げずに湿気を除去する。電気代はかかるが、室温と湿度を一定にキープできる「再熱除湿」の方が、体への負担が少ない。「住まいの権」代表で住環境アドバイザーの上郡清政さんが指摘する。
「快適な家とは、1年間を通して温度変化、湿度変化の少ない家のことをいいます。エアコンは梅雨に向けて、蒸し暑さを感じ始めたときから稼働を開始する。気温が高くなってから使うのではなく、快適な空間を保つために早めに使い始めましょう。すると湿度の低い状態が保たれ、カビやダニなどの繁殖が防げ、アレルギーやアトピー、鼻炎、ぜんそく、花粉症などを抑えることができるのです」
再熱除湿機能がないエアコンの場合は、弱冷房除湿で構わないので稼働させ、サーキュレーターや扇風機でエアコンの下から天井に向かって空気を循環させるといい。