前述のとおり、『Omokage MINI』は葬儀のほか、自宅で故人を偲ぶ用途も想定している。販売価格は9万9800円(税抜)で、従来の仏壇と比較するとお手頃と言えるだろう。
同社はもともと、故人の写真から葬儀用の遺影を作成する事業を手がけてきた。現在、約2800の葬祭事業者とネットワークを結び、千葉県、滋賀県、広島県の3拠点で、約160人のオペレータが集合写真やスナップ写真などから故人を抜き出してデジタル加工する作業に従事し、年間47万枚の遺影を作成している。市場シェアは約30%で、故人のおよそ3人に1人は、同社で遺影を作成していることになる。
こうしたネットワークの技術と資産を活かし、訃報をWebページで作成して、そのURLをLINEなどのSNSで配信する訃報配信サービス「tsunagoo(つなぐ)」も展開している。
「喪主の方は親族や友人、知人にSNSで訃報を配信することで、参列の意思確認が取れます。一方、訃報を受け取った側は、葬儀の案内を受けられるだけでなく、弔電や供花・供物、香典をスマホでキャッシュレスで手配することもできます」(青砥氏)
喪主や参列者の利便性を大幅に向上しながら、葬儀社の業務効率化にも貢献している。葬儀のIT化はここまで進んでいるのだ。
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