同期間の株式市場のパフォーマンスと比較すると
2023年4月第1週から2024年3月最終週までの騰落率は以下のとおりです。
・日経平均株価:約+44.5%
・S&P500:約+27.2%
一方で、2022年4月第1週から2023年3月最終週までの騰落率は以下のとおりです。
・日経平均株価:約+1.28%
・S&P500:約▲9.64%
2023年度の結果が相場のおかげであることは理解できますが、2022年度の米国株式市場が▲10%近かったにもかかわらず、GPIFの収益がプラスである点については注目できるのではないでしょうか。
これには、マーケットが不安定でもバランスの取れた運用ができている、という一定の安心感を持つことができると思います。
なぜ収益はプラスを維持できたのか?
米国株のパフォーマンスが低い中でもGPIFがプラスの結果を出せた理由は、GPIFのポートフォリオが、日本と外国の株式および債券に対して均等に25%ずつ配分されているためです。
外国株式でマイナスが出たとしても、他の金融資産のプラスでカバーされるため、大きな損失が出ないようなポートフォリオに設計されています。
さらに、市場運用を開始した2001年から続くGPIFの運用利回りは年率4.36%となっており、これは銀行預金をはるかに上回る成果です。この間にはリーマンショックやコロナショックなどの多くの経済危機があったにも関わらず、プラスの成果を維持してきました。
この結果から、今後、同様の経済危機があったとしても、長期的にはプラスを維持できる可能性は高いのではないかと思います。
GPIFは年金保険料の余剰金を運用
現在の年金の仕組みでは、国庫負担金と私たち現役世代が支払っている年金保険料が年金給付の財源となっています。
現状では、これらの総額が年金給付額を超えているため、余剰金が発生します。GPIFはこの余剰金を運用することで、少子高齢化が進むことで将来的に財源が不足する時のために備えているのです。
23年間の運用の中で、GPIFは着実に資産を増やしてきました。これで年金が絶対に安心、というわけではありませんが、将来の財源が増やせているという点においては非常にありがたい結果だと思います。