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年金資金を運用するGPIF、2023年度の収益額は「プラス45兆円」に 246兆円の巨額運用資金のリバランス時の市場への影響に注意

今後の注目点や注意点

 GPIFは定期的にポートフォリオの配分を見直しています。現在の配分は2020年4月から適用されていますが、日本株のウエイトをさらに増やすのではないかとの一部報道もあります。

 また、毎年の余剰金が積み上がり運用資産総額が大きくなったことで、相場が変動した際の損益額も大きくなります。今回はプラスの結果でしたが、マイナスとなった年には運用に否定的な言説もあるかもしれません。

 また、マーケットへの影響を考えると、リバランスによる売り圧力には注意が必要です。株価が上がると株式のウエイトが高まるため、元のバランスに戻すために株を売って債券を買う、リバランスを行います。2024年も3月後半から約2兆円のリバランス売りが想定されるという報道が出ていました。

 GPIFの売買は「信託銀行」に分類され、2024年3月の投資主体別売買動向では「信託銀行」が約2兆円の売り越しとなっています。

 そのため、実際にこの間にリバランスが行われた可能性が高く、同時期に日経平均株価は天井をつけ、4月後半までは一時的な調整を強いられました。ただし、GPIFはトレンドを崩す目的で売っているわけではないため、売りは複数回に分散され、マーケットへの影響を極力抑えるようにしています。それでも、リバランス売りの規模が大きい場合の短期的な下落リスクには注意が必要となるでしょう。

まとめ

 GPIFの2023年度の運用実績は、非常に高い収益を上げた一方で、マーケットの影響やリバランスの動向についても注視する必要があります。

 GPIFの運用は、少子高齢化が進む将来の財源を確保するための重要な取り組みです。今後もポートフォリオの見直しや市場の動向を注意深く観察し、GPIFの運用方針に注目していくことが大切です。

 年金財源の安定を支えるために、GPIFの運用内容と短期的なリスク管理のためにも、引き続き注目していきましょう。

【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

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