しかし、裁判を起こして有利な判決を受ける上で必要となる証拠であれば、裁判所の力を借りて提出を受けることができます(文書提出命令)。
この命令に基づく場合の提出先は裁判所になりますが、公的な記録に残されるので証拠として確保できます。そして、ドライブレコーダー等の電磁的記録についてもこの文書提出命令の対象になります。
あなたが交通事故による損害賠償請求の裁判を起こせば、この申し立てが可能になります。証拠があるのに提出しなければ、提出命令を求めた当事者がその証拠によって立証しようとしていたことが事実として認められます。
しかし、裁判を起こしてからだと、それまでの間に証拠を隠されたり捨てられてしまうこともありえます。そのおそれがある場合は、裁判を提起する前に証拠保全という手続きで文書の提出を受けることも可能です。これらの手続きは、専門家に依頼せずに行うことは困難だと思います。
交通事故でけがをしていれば、過失運転致傷の罪で捜査されますし、けががなくても物損があれば器物損壊罪で処罰を求めて告訴もできます。また、信号無視ですから道路交通法違反でもあります。犯罪として捜査され、ドライブレコーダーも証拠として調べられ、刑事事件の記録に含まれることになると思います。
交通事故を担当した警察署に捜査の経過や処分結果を確認してください。刑事事件が終了すれば、その刑事記録を証拠にすることも可能です。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2024年7月25日号