少子化になると「巨額の借金を返せない」
水野さんも、「少子化は“個人にとっては”悪くない」と語る。
「日本の人口が1億2000万人を維持しないといけない理由は、個人にとってはほとんどありません。8000万人や7000万人になってようやく欧州並みの人口なので、国民が個人単位で人口減少を気にする必要はない。
深刻な事態だと懸念しているのは政府であり、理由は経済にあります。人口が増加し単純に働く人が多いほど、国の生産力が上がってGDP(国内総生産)が増えます。いまの日本には1297兆円もの国債や借入金などのいわゆる借金もあって、生産力を増やさないと返せない。つまり、国は国民の幸せや将来を思って少子化を問題視しているのではなく、借金を返してGDPを増やすための働き手を求めているのです」(水野さん・以下同)
振り返れば戦後の日本は、「人口増」に基づいて経済発展を続けてきた。
「日本は戦争に負けてから、国の強い意向のもと、先進国に“追いつけ、追い越せ”の国策を進めてきました。サラリーマンの夫が24時間働き、専業主婦の妻が家事や育児を一手に担う標準家庭モデルを推奨して高度経済成長を果たしましたが、その成れの果てに経済成長が止まって人口が減少すると、慌てた国は急ごしらえの女性の社会進出支援や少子化対策を打ち出した。
でもそれらは国民が幸せになるためではなく、国が成長を続けるためのシナリオにすぎません」
(第2回に続く)
※女性セブン2024年8月1日号