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出産費用の補助、児童手当の拡充… 岸田内閣の少子化対策はなぜ「的外れ」と指摘されるのか

岸田内閣が掲げる「異次元の少子化対策」の効果は(時事通信フォト)

岸田内閣が掲げる「異次元の少子化対策」の効果は(時事通信フォト)

「経済的な不安定」「子育てと仕事の両立の難しさ」「賃金格差」──少子化にまつわる議論では、まるでこの国がいま、“お先真っ暗”で未来への不安を抱えているかのようなワードばかりが並び、現役世代にそこはかとなくプレッシャーを与えている。しかし、少子化によって人口減少する日本の未来は、本当に“最悪”といえるのだろうか。加速する少子化がもたらす“この国の新しいカタチ”を考えていきたい。【全4回の第2回。第1回から読む

結婚後の施策に偏る少子化対策の「的外れ」

 実際、岸田内閣は「異次元の少子化対策」を掲げ、年間3兆6000億円もの巨額の予算を少子化対策に投じた。また、これまでも政府や自治体はさまざまな少子化対策を打ち出している。

 しかしそれらはどれも少々「的外れ」ではないかと指摘するのは『人口減少社会のデザイン』の著者で、京都大学人と社会の未来研究院教授の広井良典さんだ。

「そもそも少子化の要因が誤解されています。実は、結婚したカップルの子供の数は以前からあまり減っておらず、未婚化や晩婚化といった出産より以前にあるハードルが少子化の大きな背景と考えられるのに、国の対策は出産費用の補助や児童手当の拡充などが圧倒的に前面に出ています。

 結婚や出産は個人の意思であり、自由に選択されるべきですが、重要なのは結婚に至る前の段階での若い世代の支援です。ところが政府の少子化対策は結婚後の施策がほとんどです」

 個人が自由に自分らしく生きられるようになったいま、かつてのような「産めよ、増やせよ」は多くの人の共感を得られない。

 ただし、それを前提とした上で「できれば結婚して子供を育てたいけど、それができていない人たち」へのサポートは必要であると広井さんが続ける。

「未婚化や晩婚化が進むのは、若い世代の雇用が不安定で非正規も多く、将来に対する展望が持てない面が大きい。だから少子化対策をするなら、結婚前の若者の教育や雇用、住宅の支援などを大幅に拡充して、将来に明るい希望を持てるようにする必要があります」

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