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【人口減少社会の地方創生モデル】「都市の魅力が高まり税収増の好循環に」 公共交通の活性化で「コンパクトシティ」への転換を進める富山市の取り組み

富岩運河環水公園の天門橋(写真/共同通信社)

富岩運河環水公園の天門橋(写真/共同通信社)

都市の魅力が高まることで地価が上昇し税収も増える好循環

 公共交通沿線に住む人口割合は、2005年の約28%から、2024年に約40%に増進。住宅やマンションの建設に補助金を交付して居住を促したり、中心市街地に大きな広場や図書館、美術館といった都市機能設置も進めた。

「都市の魅力が高まってきたことで地価が上昇して税収が増える好循環につながっています。気をつけているのは、中心部だけの一極集中ではなく7つの市町村合併で各地域に拠点を作り、公共交通機関でつなぐことです。福祉や教育、子育てなどあらゆる分野も包括的に施策を推進しています。教育環境を理由に転居するかたもいらっしゃいますし、価値を見出してもらうまちづくりが持続可能な都市の構築につながるように進めていきたい」

 コンパクトシティ化を手段として、持続可能なまちづくりに取り組む富山市は、過疎化に悩む地方都市のよきモデルとなるはずだ。『人口減少社会のデザイン』の著者で、京都大学人と社会の未来研究院教授の広井良典さんが語る。

「これからも人口は当面減りますが、人口増加時代の発想を転換することで、人々がゆとりを持って自由に生きられる社会へと移行し、かつ子供を持ちたいけれど持てない層への支援を拡充していけば、出生率は下げ止まり、人口が安定化する水準まで緩やかに改善することが期待できます。

 そのときの日本の人口が8000万人なのか7000万人なのかはわかりませんが、人口や経済が拡大を続けるのが望ましいという昭和的価値観から解放されていくことで、幸せで持続可能性のある未来が見えてくるはずです」

 もはや少子化と人口減少を避けることはできない。そこに希望の光を見出すか、絶望の闇に包まれるかは、私たちの取り組み次第だ。

(了。第1回から読む

※女性セブン2024年8月1日号

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