東京土産の定番菓子は、お菓子の枠を越えたビジネス展開を続けている──。2024年4月、「東京ばな奈」を展開するグレープストーン(東京・銀座)は、ブランド史上初となるレトルトカレー『東京ばな奈カレー』の発売を開始した。これまでも米粉の「東京ばな奈」開発や他社とのコラボ商品、食べ物の領域を超えたカプセルトイへの進出など、従来の枠にとらわれない進化をしてきた「東京ばな奈」。出張・旅行が激減したコロナ禍の乗り切り方、新商品開発、インバウンド需要への対応など、同社のビジネス戦略を探った。(第3回)
「バナナでカレーはもっと美味しくなる」
そもそも、なぜレトルトカレーをつくろうと思ったのか? 同社企画開発本部ブランドコミュニケーション部の広報担当者が語る。
「お菓子以外にも『東京ばな奈』の可能性を広げたいという思いが根底にあります。カレーにバナナピューレを入れるときっと美味しくなる! と考え、『バナナで、カレーはもっともっと美味しくなる』をテーマにレトルトカレーを開発しました。社内のパティシエの技術と豊富な経験を活かした新発想の商品です。実は、創業者は“いつかカレーをつくりたい”と夢を描いていて、すでに2000年に『東京ばな奈カレー』の商標を取得していました」(以下同)
レトルトカレーの開発期間は約1年半。社内で開発担当者らが「カレー部」を発足し、試行錯誤を重ねて、15 種類以上のスパイスを独自配合した「バナナとバターのチキンカレー」と「バナナとナッツのフルーツカレー」の2種類のレトルトカレーの完成にこぎつけた。
「隠し味としてではなく、とろとろのバナナピューレを惜しみなく投入することで、コクや甘い香り、スパイスの風味が絶妙に調和するカレーに仕上がっています」
「東京土産の定番『東京ばな奈』のカレーを生み出すなら、全世界の人が食べられるカレーをつくりたい」との思いもあり、「バナナとナッツのフルーツカレー」は動物性原料を極力使用せず、植物性原料を積極的に使用するプラントベースで開発したという。