公益に貢献したことを喜びややりがいとする
でも、そんな人ばかりじゃないんだね。衆議院議員会館でアルバイトをしている私は、さまざまなリーダーにお茶を淹れながら雑談をすることがあるんだけど、その中で忘れられないのが、ある団体の女性会長・R美さん(70代前半)なの。
彼女は地方都市で結婚して、国家資格を要する仕事をしながら子育てをして、舅、姑もしっかり支えてきた。そんな彼女があるとき、「団体の小さな役を引き受けて、会員の困りごとの相談に乗ったり、上に掛け合ったりするようになったら、これこそ私の役目だ、と目からうろこが落ちたの。ずっと水の中であがいていたのがやっと水面に出て息継ぎした感じ」と言うんだわ。
そして、私の淹れたお茶をひと口含むと、「それからは誰の推薦がなくても関係ない。役職に空きがあれば『私がやる』と手を挙げ続けて、気がついたら全国10万人規模のトップになっていたわけ」とR美さん。
「収入? そりゃあ、会議に着て行く服をデパートで買えるようになったけど、そんなことは大したことじゃないのよ。立場が上になるほど、団体のどこをどう変えたらいいかが見えてくる。それを1つずつ実行する喜びといったらないよ」と目を輝かせるんだわ。集団が求めていることと自分の役割を理解して、それをきちんと実行に移す。名誉や金が目的でなく、公益に貢献したことを喜びややりがいとする。これぞ正しいリーダーよね。