大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

マイナンバー制度が抱える問題点を解決できる制度とは? 同性カップル、夫婦別姓、養子縁組にも対応できる「国民データベース」の導入を大前研一氏が提唱

「国民データベース」の導入で何が実現できるか(イラスト/井川泰年)

「国民データベース」の導入で何が実現できるか(イラスト/井川泰年)

 自民党は3年ぶりに「選択的夫婦別姓」のワーキングチームを再開したが、意見の集約に四苦八苦している。「問題の原因は『家族』を単位にしているから」と指摘するのは経営コンサルタントの大前研一氏だ。大前氏はかねてより「家族」ではなく「個人」を単位にした「国民データベース」の導入を提唱してきた。大前氏がマイナンバー制度とも比較しながら、「国民データベース」の仕組みを解説する。

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 今のマイナンバー制度は戸籍や本籍地など家族と家にこだわった「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)」がベースになっている。そこが根本的な間違いなのであり、世帯の半数が1人暮らしになる時代には、戸籍や本籍地、家族、家といった発想は前世紀の遺物でしかないのである。この間違いをどこかで1回、オールクリアしなければならないのだ。

 実際、マイナンバーカードの普及率(保有枚数)は、まだ人口の約74%(6月30日時点)でしかない。にもかかわらず、河野太郎デジタル相は保険証を「マイナ保険証」に一本化して12月に紙の保険証廃止を強行しようとしている。しかし、それは無理だと思う。

 自民党総裁選出馬に意欲を示す河野デジタル相は、マイナンバーカードが普及しない理由を考えることもなく、ポイントやデジタル商品券、医療機関・薬局への支援金など金銭的なインセンティブをつけて強引に推進している。思考能力の低さから見て、首相になれるような器なのか、と疑問を呈さずにはいられない。

 だが、「無理を通せば道理が引っ込む」の諺どおり、マイナンバー制度は道理が引っ込んで国民からそっぽを向かれている状態であり、遠からず破綻するだろう。

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