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「ひたすら謝るしかない…」現役の路線バス運転手が明かす理不尽なクレーム 遅延の理由を説明したら「言い訳をするな」、法定速度を守っても「飛ばし過ぎ」

 無論、西山さんとしても遅延させたくはない。「なぜ遅延したのか」と理由を問われたため、事実として雨による渋滞の影響があったことを伝えると、今度は「遅延を正当化するな」と言われたという。

「もちろん改善点があれば努力しますが、クレームを言う人の中には、やり場のない怒りをぶつけたいだけの人もいて、こちらが何を言っても納得はしてもらえないことがほとんど。生活に影響が出るのは申し訳ないとは思いつつ、ひたすら謝るしかありません。

 必要であれば遅延証明書を発行して、お客さまが不利益を被らないように努めますが、基本的にバスやタクシーなど、車道を利用する交通機関は必ずしも時間通りにはならないことは理解してほしいなと思います。ギリギリにならないように余裕をもって乗ってほしいというのが本音です」

法定速度を守っても「飛ばし過ぎ」のクレーム

運転技術や速度についてのクレームも日常茶飯事だ。西山さんが続ける。

「『運転が荒い』、『飛ばし過ぎ』といったクレームも多いです。運転が荒いと言われやすいのは急ブレーキをかけたときですが、路上に動物や子供、高齢者が飛び出てくるなど突発的なことはあるものです。

 やむなく急ブレーキをかけた後には車内アナウンスでお詫びをいれますが、それでも『急ブレーキをかけるな、乗客の安全を考えろ』『急ブレーキのせいで飲み物がこぼれた。クリーニング代を出せ』などというクレームを受けたことがあります。そうはいっても、車内だけでなく道路上の方の安全も守らなくてはいけませんからね……。

 速度に関しては法定速度をきっちり守るため、飛ばし過ぎということはないはずなのですが、お客さまの体感なのでしょうか。いずれにせよ謝るしかありません。そもそも車を運転しない人も多くなっているので、道路や運転事情について、あまりわかっていない人も増えているのかもしれません」

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