サラリーマンが支払う厚生年金保険料には、国民年金に相当する1階部分の「基礎年金」と2階部分の「報酬比例年金」の保険料が含まれている。このうち報酬比例年金は加入期間が長くなるほど増えていくが、基礎年金(国民年金)は加入期間40年で満額となり、その後はどれだけ保険料を払い続けても年金額が増額されない。にもかかわらず40年以上加入しても基礎年金分の保険料は減額されない。
その結果、高齢サラリーマンには、保険料を払っても基礎年金が増えない“取られ損”が発生している。20歳入社の人は60歳から、大卒22歳入社なら62歳以降に払う保険料がそうなる。
一体、いくらの損失になるのか。20歳入社で70歳到達まで厚生年金に加入したサラリーマンが支払った保険料がキチンと年金額に反映された場合、65歳からの支給額は現在より年約10万円アップし、80歳までの総支給額は270万円増える計算だ。逆に言えば、制度が見直されない限り、60歳以上のサラリーマンには1人270万円もの年金損失が生じる(掲載図)。
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