88歳にしてなお現役トレーダーとして活躍する藤本茂氏。株式投資歴68年の達人はどういったポイントに注目して、市場を生き残ってきたのだろうか。藤本氏に「いま仕込みたい株5銘柄」と共に自身の投資の極意を聞いた。
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今年4月に米寿を迎えた私の投資スタイルは、「デイトレード」です。
19歳で投資を始めた私は1987年のブラックマンデー、1990年代初頭のバブル崩壊を経験しました。バブル絶頂期には10億円あった資産が2億円まで激減し、一時は投資の世界から身を引きました。しかし、2002年にインターネット取引と出会って投資を再開。以降は長い投資経験を活かしてデイトレードに専念し、現在の資産は20億円超です。
私が実践するデイトレードは下がったら買う、上がったら売るという短期売買を繰り返して利益を出すのが基本です。しかし私は株の値動きだけでなく、多くの指標にも目配りします。
何より重視するのは企業の決算内容です。「増収・増益・増配」がポイント。売上が増え、利益も増え、利益が配当に回っているかを注視したうえで、現在の株価が割安か割高かをチャートから分析して判断します。
普通のデイトレーダーは短期的な値動きで売買を繰り返し、企業のファンダメンタルズには目もくれません。しかし私は、株を買うのであれば、長期的に成功が見込める企業の株のほうがいいと考えます。長期的に株価が上昇する株も短期的には乱高下するので、トレンドを予測しながら回転売買して多額の利益を得やすいのです。
(以下、図表で《藤本茂さんが注目する“いま仕込みたい株”5選》を紹介)
長期保有においても、将来の成長が見込める企業は急落しても我慢して保有し続けたり、買い増したりできるはずです。そうした観点から、いま仕込みたい株として、長期的な成長を見込める5銘柄を選びました(別掲表参照)。
【プロフィール】
藤本茂/19歳で株式投資を始め、1986年に転換社債の投資を機に専業投資家になる。66歳でパソコンを買い、ネット取引に移行。68年間、個人投資家として相場に挑み、現在の資産は20億円を超える現役トレーダー。「投資に年齢は関係ない」がモットー。
※週刊ポスト2024年8月16・23日号