葬儀のトラブルに詳しい佐藤葬祭代表・佐藤信顕氏が語る。
「結婚式と違い、葬儀は参列の可否が事前に分かりません。案内を送った相手が故人とどの程度の関係値だったのか、喪主は把握しづらい。喪主を務める親族は生前に親と話し合い、案内を送る人をリスト化しておくことが望ましい」
こんな失敗もある。今年、95歳の父を見送った70代男性B氏の話。
「盲点だったのが遺影の手配でした。私の手元にある父の写真は10年以上続いた闘病生活中のものばかりで表情も暗い。もともと父は写真嫌いだったので難儀しました」
結局、実家にあった写真を使うことになったが、「30年以上前の町内会慰安旅行で撮った集合写真を無理やり引き伸ばしたため画質は最悪。親戚に『もう少しマシな写真はなかったのか』と呆れられた」とB氏は嘆息する。
「遺影のトラブルは散見されます。高齢になるほど良い表情の写真を撮る機会は減る。できれば元気なうちに、毎年遺影用の写真を撮影しておきましょう。最近は写真加工技術も発達しており、服装や背景にこだわる必要はありません」(佐藤氏)
このほか、家族葬の広がりとともに定着しつつある「供花の辞退」を巡る失敗事例もあった。60代男性のC氏が語る。
「3年前に父の葬儀を家族葬で行なった際、ゆかり深い人には供花や香典の辞退を伝えていたのですが、そのことを葬儀業者と共有していなかったんです。当日、業者経由で複数の供花が届いてしまい困りました。業者との綿密な打ち合わせが大切だと痛感しました」