業務以外の時間の過ごし方に意識を向ける
そして、片野さんがアスリートによくアドバイスするのが、「自分のオフの時間管理をしなさい」ということだ。
「実は、一般の人も同じです。日本では、まじめな人ほど仕事を優先して睡眠を削る傾向がありますが、欧米ではむしろ『仕事の効率化』に注力します。業務時間を超えてダラダラと働くことは『自己管理ができていない』と、評価されません。その証拠に、日本より年間40日休みが多く、勤務時間が短いドイツの方が、日本より生産性が高いんです。【*2】
【*2/2023年のドイツの名目国民総生産(GDP)は4兆4600億ドルで日本を抜いて3位に。日本は約4兆2000億ドルで4位に後退した】
ですから、自分の『勤務間インターバル』【*3】が何時間あるのかを計算し、業務以外の時間の過ごし方に意識を向けてみてください。ここ数日忙しくなりそうだというときは、前日に休息を多めに取るなどして、常に自分のバッテリーが空にならないよう、充電するのです」
【*3/勤務間インターバル:最後の勤務と最初の勤務の間の時間、つまり仕事をしていないすべての時間で、睡眠や食事、入浴等も含まれる。20時に終業し、翌朝9時に始業したとすると、勤務間インターバルは13時間となる】
睡眠時間をしっかり確保しながら、スポーツや推し活に励むのも、立派なパワーチャージになるという。
これからは、まじめだからこそ「休む」を実践していこう。
【プロフィール】
片野秀樹さん/医学博士。日本リカバリー協会代表理事。休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組む。老人病研究所客員研究員、日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)も務める。最新著書に『あなたを疲れから救う 休養学』(東洋経済新報社)。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2024年8月22・29日号