時間、体力、お金など、あらゆる面で忍耐が必要になる介護。いくら家族といえども、疲労がピークに達すれば、口論になったり投げ出したくなる時もあるだろう。93才の母の自宅介護に奮闘する女性セブンの「オバ記者」こと野原広子さん(64才)もその一人。野原さんが、介護を通して経験した憤りやいら立ちの日々を、正直につづった。
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「それでもテメエは親か! ふざけたこと言ってんじゃねぇ、バカ!」
93才の、ほぼ寝たきりの母親に暴言を吐いてしまった私。母ちゃんは私を睨みつけて、一言も発しない。それがまた腹が立って腹が立って、どうにもならない。
コトの発端は2か月前。寝たきりを脱し、ポータブルトイレで用を足せるようになったタイミングで、母親の年下の女友達Aさん(75才)が施設行きをすすめてくれた。
「いいか。歩けなくなった年寄りはみーんな施設に入んだよ」とズバッと。
「ヒロコちゃんを縛りつけて、一生食わせるだけの金、あんのかよ」
「娘と息子がかわいいと思うなら、黙って施設に行くんだ!」
長きにわたって父親を自宅介護したAさんにしか言えないことだ。そうしたら母は、「施設になんか入れてみろ。こうしてやっから!」と手を首に当てたの。それから施設の話が出るたびに、同じジェスチャーをし出したんだわ。
母親がどのくらい本気で言っているかはわからないけれど、夏の初めから鏡を見るのも忘れて介護に明け暮れた私に、こんな脅し方をするか?