ホンダが今年の6月28日に発売を開始した3代目の新型「フリード」。コンパクトミニバンというセグメントの人気車は発売から約1カ月経過した7月27日の時点で、累計受注台数が約3万8000台となった。月間販売計画は6500台ということだから、目標の約6倍となる好調さだ。新車効果が効いている時期とはいえ、相当な売れ行きで、すでに納車まで9ヶ月以上という状況だ。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」。今回は、今や軽自動車のホンダN-BOXに次ぐホンダの主力車種、新型フリードの魅力を自動車ライターの佐藤篤司氏がレポートする。
より分かりやすくなった仕様別の使い方
全長4.3m、全幅1.7m前後、全高は1.7m少々、つまり5ナンバークラスの扱いやすいボディに2~3列シートを選べ、最大で7人乗車を可能にし、おまけにハイブリッドモデルの燃費は25km/l以上と、国産車でもトップクラス。ここにスライドドアをはじめとした使いやすい装備を満載し、最新のADAS(先進運転支援システム)の「ホンダセンシング」を全車に標準装備して、価格帯は250万8000~343万7500円です。
こうしてカタログ上の数字を並べただけでも「お買い得感」は伝わり、好調な滑り出しに納得できます。ごくごく平均的なファミリー層や若いカップルが「トータルバランスに優れた1台」を求めるなら、最大のライバル、トヨタの「シエンタ」とともに、候補の筆頭に来る存在です。ただ、価格面で気になる点と言えばシエンタは“エントリーモデル”として2WD(5人乗り)のモデルを199万5200円(税込)から用意しています。ガソリンエンジン搭載で、シンプル装備のモデルで営業車などに使うための仕様とも言えますが、価格帯の幅広さという点ではシエンタに分があります。
さて新型フリードのラインアップですが、大きく分けて2タイプあります。スッキリとした外観の標準モデルの「エアー」と、キャンプや車中泊などに適したアウトドア仕様の「クロスター」です。
この両モデルをボディサイズで比較すると、最大の違いは全幅です。エアーの全幅は1695mmで5ナンバー枠に収まりますが、クロスターは25mm幅広の1720mmで、基本フォルムは同じでも3ナンバーとなります。
その理由はアウトドアでの使い勝手をよくするため、クロスターの前後フェンダーに、ホイールアーチプロテクターが装備されているからです。実用面での配慮と、そして「アウトドア仕様らしい見映え」を実現するための手法であり、走りの基本性能などに大きな違いはありません。
今時、「3ナンバーは高級車」と言った感覚は過去の遺物のようなものですから問題にする必要はありません。「エンジン排気量」で変わる自動車税や、「重量」と「経過年数」で決まる自動車重量税にも違いはありません。ただ一部にはディーラーサービスの経費が、5ナンバーと3ナンバーに差があるとか、「3ナンバーお断り」というごく一部の駐車場があるといった事情があるかもしれませんが、購入をためらう理由にはならないと思います。そしてこのサイズ感はシエンタとほぼ同じです。