過剰な音の情報を防げる
集中したい時に使う人もいる。都内の国立大学に通う男子学生・Bさんは、勉強時に「無音でイヤフォン」を着けるという。
「イヤフォンを着けて勉強していますが、特に音楽やラジオを聴いているわけではなく、無音です。音楽を聴きながら勉強する時よりも、集中力が上がる気がします」
勉強以外のシーンでも、イヤフォン装着時にあえて音楽を流さないことが少なくないそうだ。
「イヤフォン装着によって音がくぐもった状態になることで、騒がしさからちょっと距離をおいた気分になれます。あくまで僕の感想ですが、今はどの街でも音楽や広告映像が流れるなど音の情報が入りすぎて、それが脳の疲れにつながっているのかなと思います」(Bさん)
飲食店で話しかけてほしくない時に使う
不快な思いを避けるための自己防衛手段として使用する人もいる。メーカー勤務の30代女性・Cさんは、「飲食店やアパレルショップで、無音のまま着けることが多い」と明かす。
「基本は“私には接客しなくていいよ”というサインのつもりです。あと、飲食店では、他のお客さんの声が騒がしいなと思った時などに着けるとちょうどいいというか。私は自分が食べたり仕事をしている時に余計な音が入ってくるとイライラしがちなのですが、無音イヤフォンによって適度に音の総量を減らすと気分も落ち着いていられるように思います」
いまやイヤフォンは、何かを聴くためだけのものではないようだ。(了)