人口減少に伴う「なり手不足」の影響が大
しかしながら、いまや無投票当選の広がりの主たる要因はこうした「ハードルの高さ」ではない。むしろ人口減少に伴う議員のなり手不足の影響のほうが大きい。「ハードルの高さ」は制度改革で改善するが、人口減少はそうはいかないだけに深刻だ。
人口減少の影響は2019年の統一地方選挙から窺える。
無投票当選者を出した11市区の人口規模を見ると、人口5万人未満が63.6%を占めている。同じく無投票当選者を出した93町村は48.4%が5000人未満であった。
小規模な自治体で無投票が多い傾向が見て取れるのは、住民が少ないほど立候補者も少なくなるからである。
人口減少の流れを反転させられない以上、こうした傾向は強まりこそすれ、弱まることはないのである。
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、最新の統計データに独自の分析を加えた未来図を示し、これからの日本が人口減少を逆手に取って「縮んで勝つ」ための方策を提言している。