アルバイトで得られるのは、お金だけでない。貴重な経験ができたり、さまざまな人間模様や組織の裏側が垣間見えたりすることもある。ひょんなことから国会議員の手伝いのアルバイトを始めた女性セブンの名物ライター「オバ記者」こと野原広子さん(64才)が、バイト経験を通じて見た国会の裏側を綴る。
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隣に住むおじさんのたばこを買いに行って毎日10円もらったのは、小学1年生のとき。思えば私のアルバイト人生は7才から始まったのね。その後、養鶏場での卵集めやたばこ農家の手伝い、ヤクルトの配達や酒造メーカーでの瓶洗い、筑波山にある売店でアメリカンドッグを作って売ったりもしたっけ。
18才で上京してからも、定職についたのはほんの短い間で、喫茶店のウエートレスをしたり、デパートでスキーウエア売り場に立ったり。
そんな“アルバイト人生”の私が、最大の鉱脈を掘り当てたのは4年前のこと。ひょんなことから、東京は帝国ホテルの地下の一室で、私の実家のある茨城1区が選挙区の衆議院議員・田所嘉徳さん(68才)と知り合ったのよ。
そこでは、政治好きな都会人で30年来の男友達・Iさんの誕生会が開かれていて、その奇遇に驚いた私はさっそく、「私、役に立ちますよ」と田所さんに売り込んだの。政治に詳しいわけではなかったけど、“面白そう”という勘が働いたからだ。で、採用していただいた私に与えられた主な任務は、小学生相手の国会議事堂案内。これは知識より体力勝負でね。毎回、地下の集合場所から本会議場のある3階まで、小学生と一緒に一気に上り切るの。1日3校も見学がある日には、最後の1校になると、これから上る階段を前に気合のひとつも入れたくなる。ある日のこと。
「さあ、これから168段の階段を上ります。○○小学校6年生一同、気合の見せどころです!」と声を張った私に、目の前にいた男の子が言いも言ったり、「パワハラ!」。そのときはアハハと笑うしかなかったけれど、なんという言葉のセンス! 子供のいない私にはそうしたやり取りが新鮮で、国会議事堂案内の日は朝からワクワクしたっけ。