20年ぶりとなる新紙幣が2024年7月3日に発行されて1か月半。一万円札は渋沢栄一、五千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎とすべてのお札の肖像が一新されたほか、外国人にもわかりやすい“グローバルデザイン”が採用される等、各種の変更点が話題にはなったものの、まだまだ「珍しいもの」という感覚で、街なかでの存在感はそこまで高くない。
それどころか、新紙幣に対応しないところもまだまだ多いせいで、「むしろ使いにくい」「使えない」との声もある。「新紙幣をゲットしたら、なるべく早く使えるところで使って、財布には旧紙幣を残しておきたい」と考える人もいるようだ。生活のなかで起きている不都合な実態を追った。
券売機や自販機で「使えない」
職場が東京・新宿にある会社員・Tさん(30代男性)は、先日出社前にATMでお金を引き出すと、全て新紙幣だった。初めて見る紙幣に、Tさんは「これが新しいヤツなのか」と物珍しさと、新しいものを手にした喜びを感じながら財布に入れたが、昼休みになり、想定外の事態に直面してしまった。
いつものようにご飯を食べに外に出たものの、行く先々の店で新紙幣が使えなかったのだ。
「定食屋さんの食券を買う券売機に新紙幣を入れると、読み込まずに戻ってきました。お札にシワでもあったのかと思いましたが、きれいなお金です。試しにもう一度お金を入れても同じ結果。もしやと思い、店員さんに新紙幣が使えるか聞いてみると『まだ使えないんです』とのこと。
新紙幣しか持っていなかったし、お店の人も忙しそうで旧紙幣への交換も頼みづらく、私の後ろにも人が並んでいたので、急いで店を出て、近くのラーメン屋に行きましたが、こちらの券売機も未対応。結局その日はコンビニ食に切り替えました」(Tさん)