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【進化する「競技用車いす」】パラリンピック通算メダル獲得数は144個、国内外のパラアスリートをサポートする日本企業の“超絶技巧”

レース用車いすのフレームを工場内で溶接する様子

レース用車いすのフレームを工場内で溶接する様子

 8月28日に開幕するパリ2024パラリンピックで、パラアスリートの活躍とあわせて注目したいのが、選手の活躍を支える「競技用車いす」だ。選手の要望に応え、パフォーマンスを支えるために、車いすメーカーも技術力を高めている。『パラリンピックと日本人』(小学館新書)の著者でノンフィクションライターの稲泉連氏が、パリ大会でメダルが期待される選手の車いすを製造するメーカーを取材した。

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 千葉県千葉市に本社があるオーエックスエンジニアリングは、パラアスリートから篤い信頼を得る競技用車いすのメーカーだ。昨年引退した車いすテニスの国枝慎吾さん、東京大会で2つの金メダルを獲得した陸上の佐藤友祈選手、スイスのマルセル・フグ選手など、国内外のパラアスリートをサポートしてきた。同社の車いすに乗ってプレーした国枝さんは言う。

「車いすは僕らにとっての“足”です。自分用にカスタマイズされたものは、文字通り血が通っているような感覚になるまで、気持ちを研ぎ澄ませて調整をしていました」

 現在の競技用車いすの技術の進化は目覚ましく、カーボンファイバーやマグネシウム合金など様々な素材が利用されている。製作過程では選手の要望に合わせ、細かな採寸をして図面を引く。

 同社はもともとオートバイの部品製造やエンジン開発をしていた会社でもあり、バイクのレースで培ったノウハウも活かされてきたという。

 26年にわたり同社で車いすを作ってきた小澤徹さんは話す。

「例えば陸上競技ではメインフレームに使われているカーボンが地面からの振動を吸収することで、選手の負担が格段に減りました。また、アルミニウム合金製のフレームは、選手の体格、身体状況などに合わせ、ミリ単位で製造、調整します」

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