今やコメと並ぶ“日本人の主食”になったパンには、「人体に有害」として世界各国が規制に動いた成分「トランス脂肪酸」が含まれたまま、パッケージに表示されることもなく売られている。
WHO(世界保健機関)は2018年に、心疾患へのリスクなどが指摘されている「トランス脂肪酸」について、食品への含有を「2023年までに全廃する」との目標を掲げ、その勧告に応じて規制を導入した国は2022年末時点で46か国に達している。しかし、日本国内ではトランス脂肪酸の含有量に関する規制もなく、製品パッケージへの「表示義務」も定められていない。
週刊ポストはこの実態を独自に調査。製パン大手3社が発売する「トランス脂肪酸」を含む食パン&菓子パンをリスト化。同成分を含む商品の多くは「菓子パン」に分類されるが、日常的に食卓に並ぶ「食パン」にもトランス脂肪酸が含まれていることがわかった。食パンで含有されていた商品は、山崎製パンの「ゴールドソフト」、敷島製パンの「罪なバターブレッド」や「旨み広がるたまねぎブレッド」、「超熟」シリーズなどである。製パン大手3社はトランス脂肪酸を減らす取り組みにどう向き合っているのか──。【前後編の後編。前編から読む】
それでも含まれる理由は?
製パン大手3社に対し、トランス脂肪酸に関する取り組みと、現在でも主要商品に含まれている理由を尋ねた(3社の回答は掲載の表にまとめた)。
各社とも、「トランス脂肪酸を減らす取り組みを行なっている」との回答で、共通して「低減する」という説明である。取り組みを始めた時期について、山崎製パンは2005年、敷島製パンは2006年と説明。フジパンは開始時期への言及はなかった。
各社が成分量を開示した商品数に占めるトランス脂肪酸が含まれている商品の割合は10~58%だ。